タイ(バンコク)は物価が比較的安く、温暖な気候やインフラが整っていることから、長期滞在先として人気のある都市です。
しかし実際に暮らすとなると、「一人暮らしで毎月いくらかかる?」「夫婦2人での生活費はどの程度?」といった具体的な金額が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、タイ(バンコク)での生活費について、一人暮らしと夫婦2人暮らしに分けて詳しく紹介します。
住居費、食費、交通費などの内訳もあわせて解説するので、移住や長期滞在を検討している方はぜひ参考にしてください。
タイ(バンコク)一人暮らしの生活費の例
タイ(バンコク)で一人暮らしをする際の生活費は、ライフスタイルや居住エリアによって大きく異なります。
例えば、BTS(高架鉄道)沿線の利便性の高いエリアや日本人に人気のスクンビット周辺などは、家賃が比較的高めです。
一方で、郊外やローカルエリアでは費用を大きく抑えることができるでしょう。
ここでは、日本人が多く住むエリアで、セキュリティ対策が施された清潔感のある中級クラスのコンドミニアムに住んだ場合を想定し、月々の平均的な生活費の目安をTHBと日本円※で紹介します。
※2025年7月時点のレート:1THB=約4.6円
内訳 | THB | 日本円 |
---|---|---|
家賃 | 25,000〜35,000THB | 115,000〜161,000円 |
光熱費 | 1,500〜3,000THB | 6,900〜13,800円 |
食費 | 9,000〜15,000THB | 41,400〜69,000円 |
通信費 | 900〜2,000THB | 4,140〜9,200円 |
医療費・保険料 | 1,500〜2,500THB | 6,900〜11,500円 |
交通費・娯楽費 | 3,000〜10,000THB | 13,800〜46,000円 |
日用品費 | 1,000〜2,000THB | 4,600〜9,200円 |
合計 | 41,900〜69,500 THB | 192,740〜319,700円 |
タイ(バンコク)で一人暮らしをする際の平均的な生活費は、41,900〜69,500THB(192,740〜319,700円)です。
もちろん、外食を減らして自炊中心にしたり、郊外の家賃が安い物件を選んだりすることで、生活費を15万円以下にまで抑えることも不可能ではありません。
また、ローカルレストランや屋台を活用すれば食費を大きく節約できます。
しかし、初めてタイで暮らす方が、現地で余裕を持った生活をするなら、予算としては15〜25万円ほどを想定しておくほうが良いでしょう。
タイ(バンコク)夫婦2人暮らしの生活費の例
続いて、バンコクで夫婦2人暮らしをする場合の生活費の目安を紹介します。
夫婦で生活する場合、広めの部屋や家電付きの物件を選ぶケースが多く、単身よりも家賃や食費などがやや高くなる傾向があります。
以下は、日本人にも人気のスクンビットエリアなどで、2LDKの中〜上級コンドミニアムに住んだ場合を想定した費用例です。
内訳 | THB | 日本円 |
---|---|---|
家賃 | 50,000〜80,000 THB | 230,000〜368,000円 |
光熱費 | 2,000〜4,000 THB | 9,200〜18,400円 |
食費 | 18,000〜28,000 THB | 82,800〜128,800円 |
通信費 | 1,500〜2,500 THB | 6,900〜11,500円 |
医療費・保険料 | 3,000〜6,000 THB | 13,800〜27,600円 |
交通費・娯楽費 | 5,000〜12,000 THB | 23,000〜55,200円 |
日用品費 | 2,500〜4,000 THB | 11,500〜18,400円 |
合計 | 82,000〜136,500THB | 377,200〜627,900円 |
バンコクで夫婦2人暮らしをする場合、上級クラスのコンドミニアムに快適に住むなら、1ヶ月あたりの生活費の目安は、82,000〜136,500THB(377,200〜627,900円)です。
バンコク中心部の賃貸物件は、家具付きの物件が多いため、初期費用を抑えてすぐに生活を始めることができます。
また、食費や交通費も日本に比べると安く、ローカルレストランや公共交通機関を活用すれば、費用を抑えられるでしょう。
一方で、注意したいのは医療費です。
タイの公的健康保険制度は原則として外国人には適用されず、私立病院を利用する場合はすべて実費となります。
そのため、夫婦での渡航や長期滞在を検討する際は、現地の医療保険や海外旅行保険に加入するなど、保険加入の費用もあらかじめ見積もっておくと安心です。
タイ(バンコク)でかかる生活費の内訳
続いては、タイ(バンコク)で実際にかかる生活費の詳しい内訳と、それぞれの費用を安く抑えるコツについて解説します。
生活費の中心を占めるのは「家賃」と「食費」で、これらは選ぶエリアやライフスタイルによって大きく変動します。
以下では、主な項目ごとにわかりやすく整理しています。
家賃
バンコクの家賃は、物件の種類や立地、築年数、付帯設備の有無などによって幅があります。
物件選びの前に、希望する生活スタイルに合った種類とエリアを把握しておくことが重要です。
【賃貸物件の種類】
賃貸物件の種類 | 特徴 |
---|---|
コンドミニアム | 部屋ごとにオーナーが異なり、内装や家具も異なる。 プールやジムなど共用設備が充実しており、管理組合によるメンテナンス体制も整っている。 |
アパートメント | 単一のオーナーや会社が一棟まるごと所有・運営している。 管理・サービスの一元性があり、家具・家電付きやメイドサービス付き物件も多い。 |
一戸建て | 日本人がタイで戸建て住宅を購入するのは原則として不可能。 ただし、バンコク郊外には「ムーバーン(ゲート付き住宅地)」と呼ばれる戸建てエリアがあり、日本人が借りられる賃貸物件が出ることもある。 |
【エリア別の賃料相場】
エリア | 1LDK | 2LDK | 3LDK |
---|---|---|---|
アソーク | 90,000〜120,000THB(約390,000〜520,000円) | 110,000〜140,000THB(約470,000〜600,000円) | 130,000〜160,000THB(約560,000〜690,000円) |
エカマイ | 60,000〜85,000THB(約260,000〜370,000円) | 80,000〜110,000THB(約350,000〜480,000円) | 100,000〜130,000THB(約430,000〜560,000円) |
ブラカノン | 35,000〜60,000THB(約150,000〜260,000円) | 55,000〜75,000THB(約240,000〜320,000円) | 70,000〜90,000THB(約300,000〜390,000円) |
オンヌット | 25,000〜45,000THB(約110,000〜200,000円) | 40,000〜65,000THB(約170,000〜280,000円) | 60,000〜85,000THB(約260,000〜370,000円) |
ブルンチット | 100,000〜130,000THB(約430,000〜560,000円) | 130,000〜160,000THB(約560,000〜690,000円) | 150,000〜200,000THB(約650,000〜860,000円) |
チットロム | 90,000〜115,000THB(約390,000〜500,000円) | 120,000〜150,000THB(約520,000〜650,000円) | 140,000〜180,000THB(約600,000〜780,000円) |
シーロム | 80,000〜110,000THB(約340,000〜470,000円) | 100,000〜130,000THB(約430,000〜560,000円) | 120,000〜160,000THB(約520,000〜690,000円) |
バンチャック | 20,000〜35,000THB(約90,000〜150,000円) | 35,000〜55,000THB(約150,000〜240,000円) | 50,000〜70,000THB(約220,000〜300,000円) |
ラチャダー | 30,000〜50,000THB(約130,000〜220,000円) | 50,000〜70,000THB(約220,000〜300,000円) | 65,000〜85,000THB(約280,000〜370,000円) |
バンコク市内でも、エリアによって家賃は大きく異なります。
例えば、アソーク・チットロム・プルンチットなどの中心地は利便性が高く、BTSや大型モールも近くにある反面、家賃が非常に高額です。
一方、オンヌット・バンチャック・プラカノンといったBTS沿線の郊外エリアは、中心部ほど家賃が高くなく、日本人も多く住んでいるため安心感があります。
生活コストを抑えたい方や長期滞在を検討している方には特におすすめのエリアです。
- 家具付き物件は初期費用を抑えられ、短期〜中期滞在にも適している
- 管理費やインターネット、水道代込みの物件も多く、結果的に家賃は割安になることが多い
- 郊外の物件なら家賃の差額で、タクシーを頻繁に利用しても節約につながる場合がある
- 新築や築浅の物件は高額だが、築10年以上でもメンテナンスの良い物件なら快適に暮らせる
光熱費
バンコクの電気代はエアコンの使用頻度に大きく左右されます。
日中の外出が多い方は月500〜1,000THB程度で済むこともありますが、在宅時間が長く冷房を頻繁に使う方は2,000〜3,000THBを見込んでおくとよいでしょう。
【光熱費の目安(1ヶ月あたり)】
電気代 | 500〜3,000THB(約2,300〜13,800円) |
水道代 | 200〜600THB(約920〜2,760円) |
エアコンの設定温度は26〜28℃に保ち、扇風機と併用することで電力消費を抑えることができます。
また、冷房効率に影響する断熱性能も重要です。
築年数が古い物件は冷気が逃げやすく、冷房コストがかさむ傾向にあるため、物件選びの段階で「断熱材の有無」「遮光カーテン」「冷気の漏れにくい窓」なども確認しておくとよいでしょう。
- エアコンの設定温度は26〜28℃、扇風機と併用するとさらに省エネ
- 築年数だけで判断せず、断熱材・遮光カーテン・窓の密閉性もチェック
- 水道代は基本的に安価だが、洗濯回数やバスタブ利用の有無で多少上下する
食費
タイは外食文化が発達しているため、ローカルフードを中心にする場合は、日本よりも格段に食費を抑えられます。
一方で、日本食レストランや輸入食品を日常的に取り入れると、月々の出費は大きくなるでしょう。
外食と自炊をバランスよく組み合わせるのが、節約のコツです。
【外食の出費目安】
ローカル屋台・食堂 | 1食60〜100THB(約270〜460円) |
タイ料理レストラン | 1食200THB前後(約920円) |
日本食・輸入レストラン | ランチ200~500THB(約920〜2,300円) ディナー1,000THB以上(約4,600円以上) |
地元のスーパーを利用すれば、食材費の節約が可能です。
物価も全体的にかなり安く、ブロッコリー1房で約30THB(約138円)、鶏肉100gで15THB(約69円)など、価格は日本の4分の3程度となっています。
ただし、日本食材(味噌、醤油、冷凍魚など)を多用するとコストが跳ね上がるため、日常的にはタイ産の野菜や肉を活用しましょう。
外食と自炊をうまく組み合わせることで、コストと手間のバランスがとれた食生活が可能です。
- ローカル屋台はコスパ抜群
- タイ料理は野菜中心のメニューが多く、健康面でも◎
- 平日は自炊+ローカル、週末は日本食やちょっと贅沢な外食など、メリハリのある食生活がおすすめ
交通費
バンコクの交通費は、公共交通機関やタクシーの利用料金が日本に比べて非常にリーズナブルで、日常の移動コストを抑えやすいのが魅力です。
BTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)といった主要路線に加えて、タクシーやバイクタクシーも安価で気軽に利用できます。
特に駅近のエリアに住むことで、交通費だけでなく移動時間も大幅に節約できるため、物件選びの際には立地も重要なポイントになるでしょう。
【主要交通機関の運賃】
BTS(スカイトレイン) | 15〜59THB(約69〜271円) |
MRT(地下鉄) | 17〜70THB(約78円〜322円) |
タクシー初乗り | 35THB(約161円) |
バイクタクシー | 距離や交渉次第で10〜50THB(約46〜230円) |
公共交通機関は日本に比べて格段に安く、通勤や移動においてコストパフォーマンスが高い点がバンコク生活のメリットです。
BTS・MRTはRabbitカード(ICカード)を使うとスムーズで割引もあるため、利用頻度が高い方は事前にチャージしておくと便利です。
- Rabbitカードを使うと乗車がスムーズ&割引あり
- 駅近の住まいを選べば、タクシーやバイク代を節約できる
- タクシーはメーター利用を確認し、渋滞時間帯は避けるのがベター
- 徒歩圏内で生活が完結するエリアを選ぶと交通費の節約になる
通信費
タイでは通信環境が非常に整っており、4G・5Gのカバレッジも都市部では広範囲にわたります。
SIMカードは空港やコンビニで簡単に入手でき、短期・長期滞在問わず、自分に合ったプランを選べるのが特徴です。
インターネット回線も安価で導入できるため、リモートワークにも適した通信環境が整っています。
【通信費の目安(1ヶ月あたり)】
900〜2,500THB(約5,500〜11,500円)
【格安SIMプラン】
AIS 20GBプラン(速度制限あり) | 月額399THB(約1,800円) |
TRUE MOVE 無制限高速通信プラン | 月額999THB(約4,600円) |
長期滞在者にはプリペイドよりもポストペイド(契約型)の方が割安になることもあります。自宅にWi-Fiを引く場合は、追加でインターネット回線料金が発生するでしょう。
- データ使用量に応じてプリペイドとポストペイドを選び分ける
- 自宅Wi-Fiがあれば、スマホのモバイル通信量を抑えられる
- オンライン会議や動画視聴が多い方は無制限プランがおすすめ
医療費・保険料
タイの医療水準は高く、特に私立病院では高度な医療を安心して受けられますが、その分費用も高めです。
現地の病院を利用する際の初診料の目安は、以下の通りです。
【初診料の目安】
私立病院 | 1,000〜2,500THB(約4,600〜11,500円) |
公立病院 | 50~500THB(約230〜2,300円) |
バンコクには日本語が通じる病院や国際的な医療機関も複数あります。
日本人に人気の「バムルンラード病院」や「サミティベート病院」では、清潔な環境で安心して診療が受けられる一方、費用はやや高めです。
公立病院は診察料が安く抑えられる反面、外国人向けの対応が限定的で、待ち時間が長くなる傾向があります。
タイ語が必要になる場面も多いため、言語に不安のある方は、多少高くても私立病院を選ぶのが一般的です。
タイの公的医療保険制度(Social Security Scheme)は外国人には適用されないため、医療費はすべて自己負担となります。
そのため、日本人は海外旅行保険またはタイの民間医療保険に加入しておくことが必須です。
現地の民間医療保険には、外来・入院ともにカバーする総合型プランが多く、自己負担率が30〜50%のものが一般的です。
保険料の相場は月額1,000〜3,000THB(約4,600〜13,600円)程度で、年齢や補償内容によってはさらに高額になることもあるでしょう。
頻繁に病院にかかる方や長期滞在予定の方は、補償内容をよく比較して加入を検討しましょう。
- 私立病院は安心・高品質だが高額
- 公立病院は安いが、言語と長時間待機のストレスがある
- 外国人は公的保険が使えないため、民間保険か海外旅行保険が必須
交際費・娯楽費
バンコクの交際費や娯楽費は、日本に比べて非常にリーズナブルです。
カフェ | 1杯50〜100THB(約230〜460円) |
映画館 | 一般チケット200〜300THB(約920〜1,380円) |
マッサージ | 1時間300〜400THB(約1,380〜1,840円) |
ショッピングモールには複数の映画館やフードコート、ゲームセンターが併設されており、1日遊んでも1,000THB以下に収まることも珍しくありません。
マッサージ店も町中に点在しており、リラクゼーション目的で定期的に通う人も多くいます。
外食を多めにする方、週末のアクティビティを充実させたい方でも、月10,000THB(約46,000円)程度の予算があれば、十分に満喫できるでしょう。
飲み会やバーに頻繁に行く場合は、それ以上の出費も想定されますが、日本と比較すればかなり抑えられます。
- ローカルカフェやフードコートを活用すればコスパ良好
- 平日割引やプロモーションを利用すれば映画館もさらにお得
- 観光地よりローカルエリアのマッサージ店が格安・高品質
日用品・雑費
日用品は、日々の生活で必ず必要になる出費ですが、ローカルブランドを上手に活用すれば月1,000〜2,000THB(約4,600〜9,200円)程度に抑えることができます。
バンコクには日本でもおなじみのスーパーやコンビニが多数あり、日常の買い物に困ることはほとんどありません。ローカルブランドの商品を選べば、品質も良くコストパフォーマンスが高いです。
ただし、日本製品や欧米ブランド品は輸入コストが上乗せされるため割高です。
日本のシャンプーや洗顔料は2〜3倍の価格になることもあるため、日本から持ち込むか、現地調達する商品を見極めることも節約のコツになるでしょう。
日用品は定期的にかかる費用なので、予算を圧迫しないよう、無駄のない買い物を心がけましょう。
- 洗剤やシャンプーなどはローカルブランドがコスパ◎
- 日本の愛用品は渡航時にまとめて持ち込むと節約になることも
- 必要なものだけ買う習慣をつければ、意外と出費は減らせる
タイ(バンコク)の生活費は1ヶ月約15万円以上!
タイ(バンコク)での生活費は、住む場所や住居のタイプ、食事スタイル、交通手段などによって大きく変動します。
一般的に物価は日本より安く、外食や公共交通は手頃な価格で利用できますが、医療費は原則自己負担であること、日本製や輸入品は割高になる点には注意が必要です。
一人暮らしであっても、家賃・食費・通信費・医療費などを含めると、最低でも月15万円(約30,000THB)以上の生活費がかかると考えておきましょう。
特にバンコク中心部で快適な住環境を求める場合、家賃だけで10万円前後になることも珍しくありません。
バンコクでの生活を長期的に続けるためには、「物価が安い国」という先入観にとらわれず、自分のライフスタイルに合った予算管理と費用感覚を持つことが重要です。
無理のない資金計画を立てて、快適な暮らしを実現しましょう。