東南アジアの中でも日本人渡航者や移住者が多く存在するタイは、現在不動産投資の面でも注目されています。
なぜ他の東南アジア諸国と比べてタイは人気があるのでしょうか?
そこで今回は、タイで不動産投資を行う魅力から注意点、おすすめのエリアまでご紹介します。
タイでの不動産投資に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
タイの不動産投資が人気!どんな国?
タイの不動産投資について解説する前に、まずはどのような国なのかご紹介します。
タイは東南アジアの中でも中間に位置する国で、日本の約1.4倍にも上る国土に約6,617万人(2021年時点) が生活をしています。
現地では基本的にタイ語が使用されており、英語は観光地やホテルなどで通じるものの一般的な飲食店・屋台などでは簡単な英語しか通じません。
そんなタイには現在多くの日本企業が進出しており、在留邦人数も81,187人(2020年10月時点) に達しています。
外務省の海外在留邦人数調査統計 においても、国別在留邦人数の数はアメリカ、中国、オーストラリアに次ぎ第4位です。
タイ不動産投資の魅力とは?
タイの不動産投資は日本以外の諸外国からも人気を誇っています。
なぜタイの不動産投資が注目されているのか、その魅力について解説していきましょう。
経済成長が期待できる
タイは農業中心の国家であり、農業従事者は国民の約30%に及んでいます。
その一方で伸びてきているのが、自動車製造業です。
“東洋のデトロイト”と称されるほどの生産拠点となっており、GDP全体の約40%を製造業が占めているほどです。
今後も自動車製造業を中心に、経済成長が見込めるでしょう。
交通インフラの向上
タイの首都・バンコクを中心に、現在は交通インフラが急ピッチに整備されてきています。
バンコクでメインとなる移動手段は、地下鉄「MRT」と高架鉄道「BTS」です。
MRTはブルーラインとパープルラインに2つの路線があり、ブルーラインで約4~7分、パープルラインで約6~9分間隔で運行しています。
BTSはサイアムやラーチャダムリ通り、スクンビット通りなどバンコクの都心部を中心に運行する鉄道で、観光客にも利用されている交通手段になります。
MRTとBTSの駅はそれぞれ連結していることも多く、乗り換えがしやすい点もメリットの1つです。
なお、鉄道は現在も拡張工事を進めており、2029年までには全長500km以上の走行距離に達する計画です。
新しい駅が増えていけば、その周辺に住宅需要も生まれることからタイで不動産投資を行うのに適したタイミングと言えるでしょう。
税金が安い
不動産投資を始める際にネックとなるのが、税金などのコストです。
日本国内で不動産投資をした場合、不動産取得税や登録免許税、固定資産税、都市計画税など様々な税金を納める必要があります。
タイでも不動産投資に税金がかかることもありますが、日本よりコストを抑えることが可能です。
例えば、タイだと不動産投資における賃貸収入は非課税になります。
さらに2019年3月施工の新土地家屋法が制定されたことで、2020年1月から固定資産税が90%と大きな引き下げとなりました。
税金のコストを抑えられるのも、タイで不動産投資を行う魅力です。
不動産価格が安い
現在急激な経済成長とインフラ整備が同時に進むタイだと、不動産価格は日本に比べてそれほど高額とは言えません。
また、出来上がった建物を購入するよりもプレビルドの時点で購入しておけば、通常の販売価格よりもお得に購入することも可能です。
プレビルドとは、建設中に一部の代金を支払う購入方法です。
人気エリアで投資用物件を購入したい場合は、プレビルドでの購入も検討してみましょう。
外国人移住者が増える可能性大
タイで生活する日本人の数は増えており、そのほとんどはバンコクの中心部で暮らしています。
そのため、現在はバンコクの人気エリアを中心にコンドミニアムやサービスアパートなどが建築されています。
しかし、今後は経済成長が発展していけば外国人労働者などの数も増える可能性が高く、バンコクの人気エリア以外でも住宅建築が進んでいくかもしれません。
また、近年は日本からリタイア世代が移住するケースも増えており、在住者が増えていくことで住居の需要も増えていくと予測できるでしょう。
タイ不動産投資で収益を得る仕組み
タイ不動産投資で収益を得る方法には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。
以下では、収益を得る仕組みやメリット・デメリットなどについて、それぞれの違いを解説します。
インカムゲイン
インカムゲインとは、株式や債券、不動産などの資産を保有することによって継続的に得られる収益のことを指します。
インカムゲインの主な種類は、以下の通りです。
- 銀行預金の受取利息
- 株式の配当金
- 債券の利子
- 投資信託の収益分配金
- 不動産投資における家賃収入
インカムゲインの最大のメリットは、長期にわたって安定した収入が得られることです。
例えば、不動産投資なら入居者に恵まれている限り、毎月安定した家賃収入を得られる上に、急激に金額が変化するようなことも稀です。
そのため、老後を見据えて安定した収入が欲しい方にピッタリと言えるでしょう。
一方で、空室率が高くなると家賃収入が減ってしまうというデメリットもあります。
安定した家賃収入を維持するためには、入居者が集まりやすい物件選びや適切な建物管理などが重要となります。
また、実際の収益を把握しづらい点にも注意が必要です。
再び不動産投資を例に見た場合、出費の面では固定資産税や都市計画税といった税金に加えて、建物の資産価値を守るために管理費や修繕費などのランニングコストがかかります。
予期せず大規模な修繕が必要となり、大きな出費が発生したり家賃収入が途絶えてしまったりする可能性もあります。
そうしたリスクも踏まえて、事前に長期的な資金計画を立てておくことをおすすめします。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、保有している資産を購入時よりも高い価格で売却することで得られる、売却差益のことを指します。
キャピタルゲインを狙える主な資産は、以下の通りです。
- 土地や建物などの不動産
- 株式や債券
- 有価証券
- 貴金属
- 暗号資産
- FX
キャピタルゲインのメリットは、インカムゲインよりも大きな収益を望めることです。
例えば、低価格時に購入した不動産や株式などが急激に高騰した場合、最適なタイミングで売却すれば、期待以上に大きな収益を得られるでしょう。
その反面、必ずしも売却益を得られるとは限らず、時には購入金額よりも安い価格で売却せざるを得なくなるケースもあります。
不動産投資であれば、経済状況の変化や人口減少などの要因から、物件価格が大幅に下落する可能性もゼロではありません。
場合によっては、多額の損失が生じてしまうリスクも含んでいることがデメリットです。
タイ不動産投資でキャピタルゲインを狙う場合は、購入する不動産について念入りにリサーチすること、売却のタイミングを適切に見極めることなどが重要となります。
とは言え、近年タイでは日本と比べて不動産価格の上昇幅が大きくなっているので、インカムゲインではなくキャピタルゲインでより大きな収益を狙うのも一つの手です。
タイ不動産投資の注意点
タイで不動産投資を始める前に、押さえておくべき注意点があります。
どのような点に気を付けておくと良いのかご紹介しましょう。
自己管理が基本
日本で不動産投資を行う場合、購入だけでなく物件の管理まで一貫して対応する不動産会社も少なくありません。
しかし、タイの場合は基本的に自己管理を行うことになります。
購入時は不動産会社やブローカーによって比較的簡単に物件を購入できますが、その後何かトラブルや不具合などが発生しても相談できない可能性が高いです。
自己管理が基本であると認識すると同時に、信頼できる管理会社のリサーチも行うようにしましょう。
タイの不動産物件を管理まで任せたい場合、毎月9,900円~利用できる日本のサービスもあるので、あわせて検討してみると良いでしょう。
日本のようなサービスは期待しない
日本のようなホスピタリティを期待していると、タイの管理会社のサービスでガッカリすることがあるかもしれません。
そもそも、タイには不動産管理会社自体それほど多くないため、限られた中から選ぶことになります。
タイで不動産管理会社を選ぶ時は、なるべく日本人または日本語の通じるスタッフが在籍していること、日本人が所有する不動産を管理した実績があること、入金確認や報告をきちんとしてもらえることをポイントに、選んでみましょう。
ディベロッパーの倒産に注意
タイでは建物の建設工事がスタートする前に物件を購入できる「プレビルド」で購入することも多いです。
しかし、資金力の低いディベロッパーの場合施工費が不足してしまい、完成が遅れるどころかそのまま倒産する危険性もあります。
ディベロッパーが倒産すれば、購入金額は戻ってこない可能性も高いので倒産リスクが少ないディベロッパーを選ぶことが大切です。
価格下落リスク
現在はタイの人気エリアを中心に住宅・賃貸需要があるため、不動産投資にも適したタイミングと言えますが、今後新築物件の供給過多により価格下落リスクに陥る危険性もあります。
特に人気エリアはどんどん新しい物件が建てられているため、まずは市場や成約件数などを十分にリサーチする上で、どのエリアで物件を購入するか決めるようにしましょう。
タイ不動産投資でおすすめのエリアは?
タイには首都バンコクの他に、住みやすく人気のエリアが存在します。
続いては、不動産投資をする際におすすめできるエリアをご紹介しましょう。
バンコク
バンコクは首都ということもあり、政治・経済・文化の中心地として発展している都市です。
日本人が多く居住していることもあり、日本語が通じるお店も多くみられます。
バンコクの中心部は属性の高い入居者を見込める点がメリットですが、その一方で物件価格もその分高騰してしまい想定利回りが低めになってしまうリスクもあります。
シラチャ
シラチャは元々漁村でしたが、現在は港湾都市として発展しています。
三菱電機や住友鉄鋼、ブリヂストンなど多くの日本企業がシラチャに拠点を設けており、日本人向けの賃貸物件や飲食店なども少なくありません。
バンコクには車で約2時間、スワナプーム国際空港には車で約1時間20分あれば到着できます。
シラチャで不動産投資を行う場合、日本人駐在員をターゲットにした物件に投資するケースが多いです。
ただし、日本企業がシラチャから撤退した場合に空室リスクが発生する可能性があります。
景気で左右されることも多い点には注意しておきましょう。
プーケット
タイ南部に位置するプーケットは、世界的にも有名なリゾート地です。
年間を通してマリンアクティビティやゴルフなどを楽しむことができ、日本人だけでなく世界中から観光客が訪れています。
不動産需要も高いですが、特に海が近い物件になると価格も高騰する傾向にあります。
プーケットの中でもパトンやタラーン、ムアンなどが不動産投資に人気のエリアです。
パタヤ
パタヤもプーケットと同様、リゾートエリアとして知られている地域です。
マレーシアやシンガポールなどにも約2~3時間で到着できることから、海外観光客が多く訪れています。
パタヤの場合、リゾートとしての発展を見据えてホテルの運用も検討してみましょう。
観光客向けに賃貸物件を短期で貸し出せば、通常より利益を出しやすくなります。
その代わりパタヤは観光業が盛んである一方、その他の産業がないことから不況やパンデミックの発生で観光客が激減すると、大きなダメージを受ける可能性があることを念頭に置く必要があります。
タイで不動産投資を始める流れ
ここからは、タイで不動産投資を始める際の大まかな流れをご紹介していきます。
現地の不動産仲介業者に問い合わせる
まずは、現地の不動産仲介業者に問い合わせを行います。
不動産仲介業者を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。
現地の情報に精通しているかどうか
タイで不動産投資を始める場合は、現地の情報にできるだけ精通している不動産仲介業者に相談することがおすすめです。
各エリアの特徴について詳しく把握している仲介業者であれば、物件選びや内見の際に多くの有益な情報をもたらしてくれることが期待できます。
例えば、賃貸物件として貸し出すことで家賃収入を期待していたものの、場所や物件などの制限によっては貸し付けができず思うような収益が得られないケースもあります。
現地の情報を正しく把握している仲介業者に相談することで、その不動産をどのように活用すべきかについて的確なアドバイスが受けられ、また収益性の予測もしやすくなるでしょう。
タイ不動産投資における慣習を十分理解しているか
タイと日本では、不動産取引に関する慣習が異なる部分があります。
そのため、タイの文化や国民性、商慣習などについて十分理解しているかどうかも確認しておきましょう。
内見して投資する不動産を選定する
タイで購入できる不動産は、主に「プレセール物件」と「登記前物件」「登記後物件」の3種類です。
以下で、それぞれの特徴を解説するので選定の参考にしてください。
プレセール物件
物件の完成前から、ディベロッパーによって売り出されている物件です。
まだ完成していないことから内見ができないことに注意が必要です。
また、工期の遅れや倒産リスクなどを回避するためにも、事前にディベロッパーについてしっかりとリサーチしておきましょう。
登記前物件
プレセール物件を購入した方が、物件を登記する前に転売している物件です。
登記前であることから、物件そのものではなく契約書の売買となり、税金がかかりません。
登記後の転売物件
プレセール物件もしくは登記前物件を購入した方が、物件を登記した後に転売している物件です。
登記が済んでいることから、売主側が税金を支払うことになります。
申し込みや予約金・残金の支払いなど各種手続きを完了させる
投資する不動産が決定したら、不動産仲介業者を介して購入する物件の種類に応じた必要書類を用意し、申し込みや予約金、残金の支払いとった各種手続きを済ませます。
不動産購入が完了した後は、入居者を募って家賃収入を得たり、タイミングを見計らって売却したりして収益の獲得につなげます。
注意点を理解して後悔のない不動産投資をしよう
今回は、タイの不動産投資についてご紹介してきました。
タイは首都バンコクを中心に、現在も経済発展を遂げている国です。
世界中から不動産投資で注目を集めていたり、日本よりも税金のコストを抑えられたりすることから、タイでの不動産投資を計画されている方も多いでしょう。
しかし、自己管理が基本になることや日本のような高品質なサービスが受けにくいこと、ディベロッパーの倒産リスク、価格下落リスクなど注意点があることも認識しておかなければなりません。
今回ご紹介した点にも注意しつつ、後悔しないようタイの不動産投資を検討してみてください。